乳がんについて

日本では女性の乳がんが急増しています

乳がん日本のがん患者数で、女性の第1位が乳がんです。日本女性が生涯に乳がんを経験する頻度は11人に1人とされており、罹患率は急増しております。40歳代の発症が最も多く、中高年層の罹患率が高い傾向があります。20歳代の発症も少なくありませんが、ほとんどは遺伝がかかわっているケースです。乳がんになったご家族がいる場合には、20歳代から定期的に乳がん検診を受けることが重要です。

乳がんについて

乳がんは乳房にある乳腺に発生した悪性腫瘍です。乳腺には母乳をつくる小葉、母乳を乳頭まで運ぶ乳管があります。乳がんが乳腺組織内にとどまっているものを「非浸潤がん」、がん細胞が乳腺の外に広がったものを「浸潤がん」と呼びます。乳がんになっても早期に発見できれば、ほとんどのケースで命や乳房を失うことなく治すことができます。乳がんは比較的進行がゆっくりしているものが多いので、定期的な検診を受けて早期発見に努めましょう。

乳がんのステージ

乳がんのステージは、しこりの大きさ、皮膚病変の有無、リンパ節や他臓器への転移の有無などによって細かく分けられています。しこりの大きさは最大径を用います。また、リンパ節転移がある場合、脇の下、鎖骨の横、鎖骨の上下など転移した場所によってもステージが変わります。

乳がんの病期分類(TNM分類)

他の臓器への移転 移転なし(M0) 移転あり(M1)
リンパ節への移転なし(N0) 脇の下(N1) 脇の下or鎖骨の横(N2) 脇の下と鎖骨の横or鎖骨の上下(N3)
しこりを認めない(T0) ⅡA ⅢA ⅢC
最大径が2cm以下(T1) ⅡA ⅢA ⅢC
最大径が2cm~5cm(T2) ⅡA ⅡB ⅢA ⅢC
最大径が5cm超(T2) ⅡB ⅢA ⅢA ⅢC
大きさを問わない(T4) ⅢB ⅢB ⅢB ⅢC

※リンパ節への移転(N)、しこりの大きさ(T)

I期

しこり 最大径2cm以下 脇の下のリンパ節に転移がない

IIa期

しこり 最大径2cm以下 脇の下のリンパ節に転移がある
しこり 最大径2cm~5cm 脇の下のリンパ節に転移がない

IIb期

しこり 最大径2cm~5cm 脇の下のリンパ節に転移がある
しこり 最大径5cm以上 脇の下のリンパ節に転移がない

IIIa期

しこり 最大径2cm以下 脇の下のリンパ節への転移があり、リンパ節同士の癒着や周辺の組織への固定がある
           脇の下のリンパ節への転移がなく、胸骨の内側のリンパ節が腫れている
しこり 最大径5cm以上 脇の下か胸骨の内側のリンパ節に転移がある

IIIb期

しこりが胸壁の内側にしっかりと固定している
炎症性乳がんで皮膚病変がある(皮膚のしこり・崩れ・むくみなど)
※しこりの大きさや脇の下のリンパ節への転移の有無には関係のないステージです

IIIc期

脇の下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移がある
胸骨の上下にあるリンパ節に転移がある
※しこりの大きさには関係のないステージです

IV期

乳房とは違う臓器に変異している(骨や肺、肝臓、脳などに転移することがあります)
※しこりの大きさには関係のないステージです

乳がん死亡数の推移

乳がんは早期発見と適切な治療により、比較的治しやすいがんだとされています。乳がんは世界的に見ると欧米で発症率と死亡率が高いという特徴を持っていますが、近年になって年々低下傾向にあります。欧米の乳がん検診率は70~80%もあって早期発見と治療が広く行われていることが大きく影響していると指摘されています。
日本では乳がん発症率が欧米に比べるとまだ低いのですが、発症率と死亡率は年々増加傾向にあります。これは乳がん検診率が34.2%程度しかないことで早期発見できずに進行させてしまっているケースがかなりあることが原因だと考えられています。

乳がん検診で指摘される「石灰化」

石灰化は、分泌液や壊死した細胞が固まったもので、幅広い乳腺疾患や乳がんで生じます。マンモグラフィで石灰化として発見される乳がんは、かなり初期のものであることが多いため石灰化の有無を調べることは乳がんの早期発見に大きく役立ちます。

良性の石灰化

石灰化はカルシウムが沈着したものですから、母乳など分泌液の沈殿物として生じる場合もあります。こうしたものは良性の石灰化です。また、線維腺腫などの乳腺疾患で良性の石灰化ができるケースもあります。

乳がんによる石灰化

がん細胞は盛んに増殖する特徴を持っており、そこで生じた分泌液や壊死したがん細胞によって石灰化が生じることがあります。マンモグラフィ検査は石灰化の発見に優れています。しこりの有無や乳がん独特の組織の状態の有無などによる乳がん発見もマンモグラフィで可能ですが、石灰化はかなり初期の乳がんで現れることがあるため早期発見には特に重要です。

乳がんリスクについて

乳がんは遺伝や環境などの影響を受けて発症リスクが変わってくる場合もあります。リスクファクターを知ることは、必要な検診頻度や何歳から検診を受けるかなどの適切な判断に役立ちます。

1 肥満リスク

閉経後の肥満がある場合、特に注意が必要です。

2生活習慣リスク

飲酒
喫煙

3疾患・治療リスク

糖尿病
エストロゲン・プロゲステロン併用のホルモン補充療法
長期の経口避妊薬服用

4妊娠・月経リスク

出産経験がない
授乳経験がない
初産年齢が高い
初経年齢が早い
閉経年齢が遅い

5遺伝リスク

乳がんや卵巣がんを経験した血縁者がいる

乳がんのできやすい場所と症状

乳がんは乳腺に発生するため、乳腺の多い場所にできやすい傾向があります。実際に、乳がんの約半分が乳腺の多い乳房外側上部に発生し、次いで乳房内側上部、外側下部に発生しやすいとされています。専門医がしっかり検査しないとしこりが乳がんかどうかを見極めることはできません。しこりがあったら自己判断せず、お気軽に乳腺クリニックを受診してください。

乳がんの自覚症状

乳がんの自覚症状
  • 乳房にしこりがある
  • 授乳していないのに乳頭から分泌液が出る(血液が混じっていたら特に要注意です)
  • 乳頭の陥没・変形がある
  • 皮膚がくぼんでいる・引きつれがある
  • 皮膚がただれた
  • 脇の下にしこりがある

上記のような症状が気になる方は乳腺クリニックを受診して専門医に相談してください。
また、症状がない場合も定期的な検査をおすすめしています。当院では早期乳がんの発見が可能なマンモグラフィ検査を行っています。将来のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を守るためにも定期的な検査を受けましょう。

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