運動で着実に疲労が改善する
運動すると体力が高まり、疲労が緩和されます。特に「持久力」は疲れやすさと強く関連する項目で、疲労改善のための最重要項目の1つです。運動量が多いと疲労が軽減されることは世界中の研究で多数報告されています。
ジム参加者の値を見ても、持久力は非常に重要
リオールジムの参加者90名を体力別に3群に分け、疲労感と持久力の関連を調べたところ、持久力の高い群の疲労スコアは4点と低く、持久力が普通の群と低い群の疲労スコアは9点と、持久力が高い群の疲れやすさは半分以下でした。また、持久力が高い群の平均体脂肪率は25%ですが、持久力の低い群(伸びしろ群)の平均体脂肪率は34%と、持久力は体脂肪率とも強く関連します。
持久力が低いと、少し体を動かしただけで疲労を感じてしまい、座りっぱなしの時間が増える→さらに持久力が下がるの負の循環に入ります。以前、私たちがおこなった研究では、成人女性を対象に運動介入をおこなった際に、運群群は持久力が着実に伸び、疲労スコアも半減(改善)しました。一方、運動をおこなわない群の持久力は変わらず、疲労感も変化しませんでした(疲労スコアは高いままでした)。持久力は疲労と強く関連しますので、疲労を改善したい方はぜひ持久力に着目していきましょう。
更なる効果!筋トレと有酸素運動の併用
様々な運動が疲労改善に効果的ですが、運動の種類で疲労改善の効果の大きさが異なります。最も疲労改善に効果が高い運動が、筋トレ+有酸素運動の組み合わせです。既往歴のある方を対象に調査した研究では、身体的な疲労の改善に効果の高い活動としては、1位が筋トレ+有酸素の組み合わせ、2位が体重コントロール、3位が有酸素運動となっています。持久力を上げるためには有酸素運動がおすすめですが、そこに筋トレを加えることで日常生活の負荷が軽くなり、疲労が改善しやすいと言われています。また、体重コントロールも身体的な疲労改善に効果的で、体重を減らすためには食事改善が重要です。ダイエット方法は別のページで詳しく解説しており、こちらをご覧ください。
睡眠が疲労に関連する強烈なファクター
職場における疲労の最大の原因が睡眠不足にあると言われています。治療の副作用で睡眠が取りにくいなど改善が難しいケースもあるのですが、夜更かしなどで睡眠時間が短い場合はそこを改善することで大幅な疲労改善も期待できます。睡眠をよくするための運動や食事関連の工夫は下記の通りです。
- 寝る直前に高強度運動をおこなわない
- 定期的な有酸素運動を継続する
- 寝る直前に食べ過ぎない
- カフェイン摂取に気を付ける
- アルコールを控える
寝る直前の高強度運動は避ける
ランニングやウォーキングは睡眠の質を上げることが報告されています。ただし、寝る1時間前に高強度運動をすると睡眠の質が下がるかもしれないと言及されてます。寝る直前に高強度運動をすると睡眠の質が低下し、疲労が蓄積しやすくなる可能性がありますので、その点に気を付けていきましょう。
また、夜にランニングなどの運動をすると睡眠の質が下がると言われていましたが、世界的な学術誌に掲載された信頼性の高いレビュー論文では、夜にエクササイズをしてもさほど睡眠の質は下がらないと言われています。運動は睡眠改善だけでなく、疲労改善や病気の予防など様々な効果がありますので、ご自身のやりやすいタイミングで運動に取り組まれることがオススメです。