運動でよくある質問

抗がん剤中に運動しても大丈夫でしょうか?

研究論文では抗がん剤中の運動で体力低下を予防できたり、抗ガン剤の完遂率が上がるなどポジティブな結果が報告されています(1)。ジムにいらっしゃる方で抗がん剤中の方も複数いらっしゃいます。主治医にご相談の上、予約日程をご検討下さい。当院の医師も相談に応じる事ができます。

手術前に運動しても大丈夫でしょうか?

主治医にご相談のもと、特に問題が無い場合は手術前の運動もオススメです。手術後は安静にすごすためどうしても体力や筋肉量が減ってしまいます。最近はプレリハビリテーションといって、事前に体力や筋肉量を高めてから手術をおこなうことで、術後の合併症を防ぐという考え方も広まってきました。事前に体力を高めておくことで、治療後の回復が進むことが報告されています(2)。

1日何分くらい運動すれば良いでしょうか?

理想は1週間に150分程度の運動量が確保できると、乳がん再発予防や副作用の改善が期待できます。理想的な運動量は強度によっても変わりますので、ランニングやテニスのような高強度運動の場合は1週間に75分程度おこなえば十分な量が確保できます。 一方、高強度運動は難しいという方は1週間あたり150分の運動がオススメですので、1日あたり20分程度体を動かせると理想的です。通勤時のウォーキングも運動としてカウントできますので、座りっぱなしをなるべく減らし、今よりも+10分程度体を動かしていくことを意識しましょう(3)。

どんな運動種目をすべきでしょうか?

まずはウォーキングやランニングのような有酸素運動を基本とし、1日20分程度体を動かすことを目標にしましょう。ウォーキングは乳がん再発予防に加えて、持久力も改善しますので、心疾患などの重い病気の予防も期待できます。ただし、ウォーキングだけでは筋肉はつきにくいため、筋力や筋肉量が減ってきたという方は筋トレがオススメです。筋トレは大きい筋肉(太もも、お尻、腹筋)などを中心に、1週間で各部位を10回×5セット鍛えられると理想的です。

運動習慣がない場合、まず何からすべきでしょうか?

乳がん再発予防が期待できるウォーキングがおすすめです。時間に余裕のあるタイミングで自宅周りの散歩から始めてみましょう。運動時間は5分で大丈夫ですので、無理なく継続することが重要です。メンタルヘルスの改善には少し長めに歩いた方が良いと言われていますので、1回あたり20~30分程度歩くと効果が期待できます。また、ヨガもオススメの種目です。乳がん経験者向けのヨガスクールは全国各地にあり、オンラインでもレッスンが受けられますので「乳がん ヨガ」と検索すると、色々な先生のホームページをご覧になれます。

家でできるオススメ運動はありますか?

ヨガ、自体重の筋トレなどがオススメです。筋トレと聞くと、ダンベルや筋トレマシンを用いる「きつい」イメージがあると思いますが、器具を使わなくても筋肉を曲げ伸ばしすることで立派な筋トレがおこなえます。筋トレは乳がん再発予防が期待できる運動強度を確保できますし、筋肉が付くと体型がぐっと引き締まっていきますので、「服がスッと着れるようになった」、「おしゃれを楽しめる」などの声も多いです。

プロテインを飲むなら運動後の方が良いですか?

トレーニング科学的な視点では、運動直後のプロテインは吸収効率が高まりますので、おすすめタイミングです。また、夜に寝てる間は筋肉がどんどん分解されますので、朝食でプロテインを取ると筋肉の分解を抑えられます。女性の場合、1日1本プロテインを飲めば十分な量が確保できますので、プロテインは1日あたり0~1本程度にすることがオススメです。乳がん経験者向けのプロテイン記事の詳細はこちらをご覧ください。 ※プロテインを飲んでも大丈夫かどうかは、その方の健康状態や病歴にもよりますので、主治医の先生にご相談いただくのが安心です。

参考文献

(1)Courneyaら, J Clin Oncol, 2007.
(2)佐藤典宏, がん手術を成功にみちびくプレリハビリテーション, 大月書店, 2020.
(3)Bullら, Br J Sports Med, 2020.

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