日常生活・仕事の注意点

日常生活・仕事の注意点

仕事乳がん術後、日常生活や仕事復帰をスムーズに進めるために、いくつか注意点がございます。

急に上半身の激しい運動をおこなわない

乳がん術後は腕や肩を動かしにくくなることが多く、急に激しく運動するとケガしたり、腕がむくみやすくなることがあります。手術直後に限らず、手術から数年経過した場合でも、腕や肩をいきなり激しく動かすと、ケガをすることもあります。無理のない範囲で、少しずつ腕や肩を動かすように心がけましょう。

毎日、無理に運動をする必要はありません

乳がん術後、なるべく早く体力を戻そうとするあまり、頑張り過ぎるとケガをする可能性があります。毎日、適度に運動できると理想的ですが、毎日でなくても大丈夫です。乳がん経験者の場合は、1週間あたりで150分程度の運動が推奨されています(1)。必ずしも毎日運動をする必要はありませんので、体調や気分がすぐれない時は無理をせずに体を休めましょう。

座りっぱなしの時間を減らす

運動しないことに罪悪感やもどかしさを感じる場合は、座りっぱなしの時間を減らすように心がけましょう。最新の研究では、座りっぱなしの時間を減らすことで健康に多くのメリットがあることが分かっています(1)。座りっぱなしの時間を減らすと糖尿病の予防に効果的で、糖尿病はがん発症のリスクにもなります(2)。60分以上座りっぱなしの時間がある場合は、途中5~10分程度立ち上がったり、近くを散歩することがオススメです(3)。

膝が痛む場合

乳がんは40~50代に多いがんで、年齢の影響やホルモン療法の副作用などによって膝関節が痛むことがあります。膝関節は年齢と共に消耗しますが、筋トレで膝周りの筋肉を鍛えて、膝を守るという考え方が普及してきました。乳がん経験者の場合でも、筋トレが膝痛緩和に効果的であることが多数報告されています(4)。

スクワットは膝の筋肉をつけるおすすめの運動です。膝の曲げ伸ばしで痛みが出る場合は、無理におこなわずに様子を見ましょう。フォームを誤るとケガする恐れがありますので、ジムで専門のトレーナーにフォームチェックをしてもらえると理想的です。スクワットの正しいフォームはこちらの動画よりご覧いただけます。

フルタイムのお仕事が難しい場合

乳がん治療に伴って、疲れやすくなることは多くの研究で報告されています(5)。ジムに初めてお越しになる方で「半日働くと疲労がたまりすぎて、1日フルで働けない」という声も聞きます。特に、階段の登り降りで息が切れたり、長時間移動することが難しい印象です。

この場合は、持久力をつけていくことが重要です。持久力はウォーキングやランニングなどの有酸素運動で改善していきますので、1日20分程度を目安に軽いウォーキングから始めていきましょう。日本人乳がん経験者を対象とした研究でも、週1回程度の運動を3ヶ月継続することで、着実に持久力や疲れやすさが改善することが報告されています(6)。

参考文献

(1)Bullら, Br J Sports Med, 2020.
(2)Giovannucciら, Diabetes Care, 2010.
(3)Healyら, Diabetes Care, 2008.
(4)Irwinら, J Clin Oncol, 2015.
(5)Abrahamsら, Ann Oncol, 2016.
(6)Okumatsuら, Breast cancer, 2018.

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