肥満防止のダイエット

肥満防止のダイエット

肥満は乳がん再発リスクを上げますので、適正体重の維持が重要です。肥満を防ぐためには運動と食事の両方が重要ですが、食事改善の方が運動より効果が大きいです。食事改善にしっかり取り組むことでスムーズな体重管理がおこなえます。

食事は運動よりも4倍効果が大きい

ダイエットには圧倒的に食事が重要です。比率で言うと運動2~3:食事7~8くらいです。運動はできても週に2~3回で調整できる回数が少ないです。一方、食事は毎日3食を7日で週に21回の調整チャンスがあり、間食も含めると食事の調整回数は更に多くなります。また、実際の研究結果でも運動より食事を変えた方が効果的と多数報告されています。閉経した肥満女性を対象にした研究では、運動を頑張っても半年後の減量幅は約2%ですが、食事を改善すると減量幅は約8%でした。どの研究を参考にするかで効果の大きさは若干異なりますが、食事は運動よりも4倍効果が大きいです(1)。

乳がん経験者の体重推移

乳がん経験者は治療の過程で体重が増えやすいと言われており、日本人乳がん経験者300人を対象とした研究では乳がん診断から約4年で体重は平均1.4キロ増えると報告されています(2)。体重が増える理由としては、加齢や運動不足、ホルモン療法の影響などが考えられます。乳がん術後、お腹周りの脂肪が増え、思うように体重が減らないとお悩みの方も多いです。

乳がん術後でもダイエット成功できる

日本人乳がん経験者を対象に、ダイエット効果を検証した研究があります。ホルモン療法中の乳がん経験者を対象に1日当たり1,200kcalで3ヵ月間の食事改善をおこなったところ、平均で6キロ(10%)の減量を達成しました(3)。ホルモン療法をおこなっていても、適切な食事改善をおこなえば、体重を減らすこと可能です。世界的にも乳がん経験者向けのダイエット研究は多数あり、体重や体脂肪率が減ることが報告されています(4)。

日本の栄養ガイドライン

ダイエットには様々な流派があり、糖質制限やりんごダイエットなど色々なダイエット方法が日本で流行しています。日本の栄養のガイドラインは厚生労働省から出ている「食事摂取基準」というもので、5年に1回改訂されます(5)。食事摂取基準ではダイエットに特に重要な要素として、カロリーが言及されており、1日の摂取カロリーと消費カロリーのバランスが体重変化につながっていきます。カロリーダイエットの注意点としては、カロリーの低い野菜果物を中心に食べ過ぎると、タンパク質が不足し筋肉も減りやすいです。タンパク質などの栄養バランスにも気を付けながらカロリーを調整していくことが重要です。

ダイエットと筋肉を両立する目標値

栄養の目標は1人1人異なりますが、体重55キロの女性の場合、1日の基礎代謝が約1,200カロリーで、そこに運動などの消費カロリーを考慮すると、1日に約1,800カロリーを必要とします。1日に約1,800カロリーを摂ると体重は維持されますので、摂取カロリーを1,800よりも少し減らさないと体重が減りません。具体的な目標値として、1日1,500カロリーで、タンパク質90g、脂質60g、炭水化物150gを目指すと、筋肉を残しながらダイエットがおこなえます(タンパク質は体重×1.6倍がオススメです)。タンパク質が多そうに見えますが、この値は食事摂取基準の目標値の範囲内におさまっていますので、ご安心ください。一般的に体重減少と共に筋肉も減りますので、なるべく筋肉量を残すためには高タンパクな食事が重要になります。

具体的なダイエット方法

上記の栄養目標を達成するためには①高タンパク低脂質な肉・魚・豆食材を選ぶこと②白米パン麺の回数を1日に2回にすること③お菓子やジャンクフードの食べ過ぎを減らすこと④野菜果物を豊富にとることが重要です。主な食材の栄養素は下記の写真に記載してありますので、それらの栄養値の1日合計がタンパク質90g、脂質60g、炭水化物150gに近づくと理想的です。栄養の目標値は個人の体重や既往歴などによって異なりますので、本ページの目標値は参考程度にご活用ください。


肉魚などのタンパク質食材はA~Cの区別があり、Aの食材は高たんぱく低脂質でダイエットにおすすめです。Cの食材はタンパク質に加えて脂質も多いため、ダイエットしたい方はC食材の食べ過ぎにお気をつけください。食事の詳細は月末の金曜日にオンラインフィットネスのダイエット講座で説明していますので、詳細はこちらをご覧ください。

参考文献

(1)Fosterら, Obesity (Silver Spring), 2012.
(2)Okumatsuら, Med Sci (Basel), 2021.
(3)Okumarauら, Breast Cancer, 2019.
(4)Reevesら, Obes Rev, 2014.
(5)日本人の食事摂取基準2020, 厚生労働省, 2020.

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