リハビリ体操について
乳がん経験者向けのリハビリ体操は、以下のサイトから無料でご覧いただけます。乳がん診断後に「どういった運動をすれば良いか分からない」という際に是非ご覧ください。
乳がん治療に伴って、肩回りが固くなりやすいです。時間の経過と共に、柔軟性は改善していきますが、継続的に動かすことで、改善スピードが約2倍早まると言われています。肩は上下左右、色々な方向に動きますので複数の種目を組み合わせることがオススメです。
※乳がん再建手術から1ヵ月程度は安静に過ごすように注意しましょう。激しい運動をすると、人工物が上方向に移動することがあります。この期間中、腕はつり革を持つ高さよりも上には上げないようご注意ください。再建手術後、運動を再開する前に主治医の先生へ運動をおこなっても良いか、事前にご確認ください。
運動は肩回りの可動域を改善させます。

運動を定期的におこなうことで、肩回りの柔軟性が向上します(1)。柔軟性が上がると、ウォーキングや筋トレの選択肢が増え、体力を更に上げやすいです。ただし注意点として、乳がん手術後にいきなり激しい運動をすると、ケガやリンパ浮腫のリスクもありますので、まずはストレッチから始めていきましょう。
ストレッチが楽にできるようになりましたら、少しずつ強度の高い運動にチャレンジしていくと、筋肉量アップや疲労感の改善も期待できます。
ショルダーサークル(肩の柔軟性を改善)

- 足は軽く横に開き、円を描くように肩を前方向に大きく動かします。
- 15秒回した後に、円を描くように肩を後ろ方向に回します。
☆背中側は肩の動きが小さくなりやすいため、大きく動かすように意識しましょう。
ディープブリーシング(肩と胸のストレッチ)

- 足は軽く横に開き、円を描くように肩を前方向に大きく動かします。
- 息を口からはきながら、腕を体の正面方向におろします。
☆腕を上げる高さは気持ちのいい範囲で大丈夫ですので、胸の筋肉を伸ばしましょう。
ショルダーフレクション(肩の前方向の柔軟性を改善)

- 足を軽く開き、肘を伸ばした状態で、手の平を太ももの横に合わせます。
- 息を吸いながら、腕を頭上に上げます。腕が頭上に上がった後は、息を吐きながら手の平を太ももの横に下げていきます。
☆肩に痛みがある場合は、痛みの出ない範囲で腕を上下させましょう。
ショルダーアブダクション(肩の横方向の柔軟性を改善)

- 足を軽く開き、肘を伸ばした状態で、親指を上に上げながら腕を横方向に上げます。
- 腕を上げる時に息を吸い、腕を下げる時にゆっくり息をはきましょう。
☆肩に痛みがある場合は、痛みの出ない範囲で腕を上下させましょう。
セルフチェストプレス(胸のストレッチと筋トレ)

- 手の平を正面に向けて、肘を背中の後ろへ引きます。
- 息を吐きながら、肘が伸びるまで手の平を正面に押していきましょう。
☆手の平を押す時、手は胸の高さと同じくらいになるよう調整しましょう。
セルフローイング(肩と背中のストレッチ)

- 手の平を上に向け軽く握ります。
- 肘を伸ばした状態から、息を吐きながら、肘が背中の後ろに行くまで引いていきます。
☆肘を引いた時に、手の平は胸の少し下に来るように意識しましょう。
エルボーウィンギング(肩と胸のストレッチ)

- 手は耳の横にあて、息を吐きながら体の正面に、肘同士を近づけていきます。
- 息を吸いながら、肘を肩の横方向へ動かします。
☆肘を肩の横に動かした時に、胸の筋肉が伸ばすとストレッチの効果が高まります。
サイドベント(脇腹や腹筋のストレッチ)

- 手の平を組んで頭上に上げます。
- 息をはきながら、上半身を左右にそれぞれ動かし、脇腹を伸ばします。
☆手の平を組めない場合、痛みの出ない範囲で大丈夫ですので、ななめ方向にバンザイして、脇腹を伸ばしていきましょう。
参考文献
(1)Beurskensら, BMC Cancer, 2007.